豊粼由美

この人を知ったのは年末にケーブル・テレビで今年のおすすめミステリはこれ!みたいな番組を見たときだ。その後「文藝」の恩田陸特集でインタビュアとして目にして、今年「文学賞メッタ斬り!」が書店で平積みになっているのを見てその存在を確認した。しかし天の邪鬼なので「文学賞」は買わずに「百年の誤独」、それも海外文学篇を購入した。このなかでトーマス・マン魔の山』について語っていることにいちいちうなずいて、大いにファンになった。この後だ、「文学賞メッタ斬り!」と自身の書評集を買ったのは。
魔の山』について語っているところで好きな箇所。

豊粼  でも、好き。初めて読んだのは高校の頃なんですけど、その時からわたしの夢は、この療養所に入ることなんですよー。結核って、とにかく栄養を摂ってひたすら休んでればいいわけじゃないですか。この小説でも食事のシーンの描写はませに『美味しんぼ』。で、首まで毛布にくるまり長椅子に横たわって雪景色を眺め……(うっとり)。食っちゃ寝、食っちゃ寝の生活、憧れますよねえ。