アートの話

「新潮」11月号で保坂和志と古谷利裕が「対話 世界の奏でる音楽を聴く」という対談をしている。両者とも実作者でありながら評論家(と言っていいのかな)の視点も持っているのでその話の内容が、創作を行う者の感じ方はなるほどそういうものなのかと第三者に思わせるものとなっている。
それぞれの発言はどれも大変興味深いものだ。たとえば古谷利裕がこんなことを言っている。
「ほとんどが勘違いだとしてもそうじゃない部分が必ずある。そこをどう抽出するかが技術なんだと思います。もしかしたら自分だけが感じているのかもしれない、勘違いかもしれないものの方に付くことこそが、世界の確証性に繋がることであり、それだけが世界との通路になり得るんじゃないでしょうか。」
アートであるということは、自分という個人が世界と直接繋がることだと教えてくれる。