「新潮」

だいぶ以前にバックナンバーを購入して積んだままになっていた「新潮」を切り抜こうとしたが、パラパラ読んでみたら目当ての文章以外でもよかったので、切り抜くのをやめてそのまま残すことにした。
目当ての文章というのは保坂和志の「小説をめぐって」という連載で、すでに2冊単行本になっている。分類してしまえば小説論なのだが、アート論としても読めるし、なによりも作者が書こうとしている内容をそのまま実践しているようなところがある。
たとえばこんなことを書こうとしているようだ。

文章が結論に向かって収束するものであるということとか、文章には結論があるということとか、結論がそこに至るプロセスの全体と等価である(……)ということとか、それらは小説的思考とはまるっきり別のことであると、連載を通して繰り返し書いているにもかかわらず、……

この連載とは関係ないのだが、雑誌にいろいろな文章がほぼ同じ体裁で掲載されている。小説などはまったくそのテンションや内容が異なるのに見る形は似ている。そのような構成で文章を読むというのは、単行本を読むのとは違った感触があって、これはこれでいいのではないかと思ったことが切り抜くのを中止にした理由だ。