読書

津軽 (新潮文庫)

津軽 (新潮文庫)


一気に読了。文章のうまい人だ。ややもすると書き過ぎることがあったりするが、この作品は淡々としていて、最後に涙を誘う構成になっている。

少し引用。

風景というものは、永い年月、いろんな人から眺められ形容せられ、謂わば、人間の眼で舐められて軟化し、人間に飼われてなついてしまって、高さ三十五丈の華厳の滝にでも、やっぱり檻の中の猛獣のような、人くさい匂いが幽かに感ぜられる。