『失われた時を求めて』のこと

プルースト『失われた時を求めて』を読む (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)

プルースト『失われた時を求めて』を読む (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)

いま『プルーストの部屋』(下)を読んでいるところだが、昨年一年かけてプルースト失われた時を求めて』を読み通したことは妙な自信につながっている。これを読み切ったのだからどんな本でも怖くない、と思っているのに気づく。実際、『失われた時を求めて』は文庫で全13冊、1冊約500ページで改行は見開きで2回くらいしかない。しかもひとつの文章が非常に長く、いろんな隠喩が込められている。
読み終えてからも、その読んだことを確かめたくて『プルーストの部屋』を読んだり、こんな本を買ったりしたくなるのだ。
「はじめに」のところにこんな引用があったので孫引きしてみる。

いったいプルーストバルザックや『戦争と平和』を、逐語的に読んだ者がいたであろうか。(ロラン・バルト『テクストの快楽』)

名刺に肩書きや資格や勲章に並べて、次の一文を加えてもよいだろう。すなわち≪私は『失われた時を求めて』を読んだ!≫と。こうすれば人はどんな人物を前にしているか分かるはずだ。(イヴ・シモン「三つの旅とプルースト」)

バルトの引用は、自分も『テクストの快楽』を読んでいて、この箇所で笑ってしまった。