『失われた時を求めて』のこと
プルースト『失われた時を求めて』を読む (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)
- 作者: 鈴木道彦
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/03
- メディア: ムック
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いま『プルーストの部屋』(下)を読んでいるところだが、昨年一年かけてプルースト『失われた時を求めて』を読み通したことは妙な自信につながっている。これを読み切ったのだからどんな本でも怖くない、と思っているのに気づく。実際、『失われた時を求めて』は文庫で全13冊、1冊約500ページで改行は見開きで2回くらいしかない。しかもひとつの文章が非常に長く、いろんな隠喩が込められている。
読み終えてからも、その読んだことを確かめたくて『プルーストの部屋』を読んだり、こんな本を買ったりしたくなるのだ。
「はじめに」のところにこんな引用があったので孫引きしてみる。
いったいプルーストやバルザックや『戦争と平和』を、逐語的に読んだ者がいたであろうか。(ロラン・バルト『テクストの快楽』)
名刺に肩書きや資格や勲章に並べて、次の一文を加えてもよいだろう。すなわち≪私は『失われた時を求めて』を読んだ!≫と。こうすれば人はどんな人物を前にしているか分かるはずだ。(イヴ・シモン「三つの旅とプルースト」)
バルトの引用は、自分も『テクストの快楽』を読んでいて、この箇所で笑ってしまった。