なぜ?

6×6のスクエア・フォーマットで写真をつくると、なぜスクエアなのですかという質問を受けることがある。その質問のウラにはなぜ35mmや6×7のように横長のフォーマットで写真を撮らないのですか、という問いが隠れている。6×6で撮っている人はたぶんに感覚的なものだと思うが、それだけに改めて質問されて明確に応えられる人は少ないと思う。そして、その質問は意地悪な面も持っている。スクエアについて質問した人は35mmで撮っている人になぜ35mmなんですかとは尋ねない。なぜ尋ねないのだろう。尋ねないのは怠慢だと思う。35mmフォーマットが普及しているとはいえ、それはライカ以降のことでしかない。写真の歴史はもっと長いのだ。スクエアについて質問する人は写真評論家のなかにもいる。やはりその人たちも35mmについては尋ねない。写真を語る言葉が足りないと思うのはこんなときだ。評論する側の人でも先入見があって根本的なところを深く考えていないように思える。思考が貧しいのだ。