『日本語が亡びるとき』のこと

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で


この本についていろいろな批評が書かれている。
http://en.yummy.stripper.jp/?eid=1094337
いくつか読んだだけだが、批判している内容はその指摘が細かいところだったり、揚げ足取りに近いようなところが見受けられた。
彼女が漱石を頂点とする日本近代文学崇拝者であってもいいではないか。それは彼女の考えなのであって、それはおかしいと批判することはできない。
なぜ彼女が「日本語」に対して持っている危機感を正面から受け止めないのだろうか。
彼女が言うように「日本語」が危機的状況にあるのかないのか、あるのならそれを回避するにはどうしたらいいのか、危機的状況ではないというのならそれはどうしてか、といった議論がしてほしかった。批評を読む限りでは、そういう議論ができるだけの知識や技能、方法を持った人たちのように思えるのだから。
この本は、ある意味では「たたき台」「問題提起」であると思う。なのにそのたたき台の出来が悪いと批判してどんな意味があるのか。その批判が的を得ていてもさして生産性のある行為とは思えない。