「新潮」3月号

杉本博司の連載から。

人間が見ていると思い込んでいるものは世界の残像にすぎないのだ。

しかし杉本は別のところで、こんな意味合いのことを述べている。

I had found a way to see the world as a camera dose.
However fake the subject, once photografed, it's as good as real.
わたしは、カメラのように世界を眺める方法を発見した。
どんな虚像でも、一度写真に撮ってしまえば、実像になるのだ。

これは勇気付けられる言葉だ。


今月号では写真の成立について述べているのだが、タルボットがカメラオブスキュラで撮影した初期の写真について説明しているところで、「写っているのは屋根の線と煙突だ。しみの様に見えるのはしみだ。」というのを読んで思わず笑ってしまった。真面目なのかと思えば突然こんな一言が出てきて、ホント食えないオヤジだなと思う。